海外駐在におけるマインドセット ~Alco President~

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弁理士 短答 H28 特許5〜7

【特許・実用新案】5 *213
特許法に規定する審決等に対する訴えに関し、次の(イ)~(ホ)のうち、誤っているものは、いくつあるか。

(イ) 特許異議の申立てについて特許の取消しの理由の通知を受けた特許権者は、審判長が指定した期間内に限り、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面の訂正を請求することができるが、この訂正の請求書の却下の決定に対して、訴えを提起することはできない。
× 120の5第2項:前半は正しい。
 ただ取消決定又は審決に対する訴え及特許異議申立書、審判若しくは最新の請求書又は120条の5第2項若しくは特134条の2第1項の訂正の請求書の却下の決定に対する訴えは、特許高等裁判所の専属管轄とする(178条1項)。よって後半は×

(ロ) 特許無効審判の特許を無効にすべき旨の審決に対する訴えにおいては、その審判の請求人を被告としなければならないが、特許を無効にすべき旨の確定審決に対する再審の審決に対する訴えにおいては、特許庁長官を被告としなければならない。
× 179条
 請求人又は被請求人を被告としなければならない。

(ハ) 特許庁長官は、延長登録無効審判の審決に対する訴えの提起があったときは、裁判所から意見を求められた場合に限り、当該事件に関する特許法の適用その他の必要な事項について意見を述べることができる。
× 180条の2第2項
 特許庁長官は、特179条ただし書に規定する訴えの提起があったときは、裁判所の許可を得て、裁判所に対し、当該事件に関するこの法律の適用その他の必要な事項について、意見を述べることができる。
 よって、許可を得れば、いつでも意見を述べることができる。

(ニ) 拒絶査定不服審判の審決に対する訴えにおいて、特許出願に係る発明は、特許出願前に頒布された刊行物Aに記載された発明イと同一であるから、特許法第29条第1項第3号の規定により、当該特許出願は拒絶すべきものである、とした審決を取り消す旨の判決が確定した。その場合、審判官が、更に審理を行い、審決をするときは、刊行物Aに記載された発明イと同一であることを理由として、先の審決と同一の結論の審決をすることはできない。
○ 行政事件訴訟法33条1項
 処分又は裁決を取り消す判決は、その事件について、処分又は裁決をした行政庁その他の関係行政庁を拘束する旨が規定されている。 
 すでに記載の審決を取り消す旨の判決が確定しているため、先の審決と同一の結論の審決をすることができない。
 (審決で特許を取り消すとしているのに、同じ理由で権利継続はできない。)

(ホ) 特許無効審判に参加を申請してその申請を拒否された者は、参加の申請についての決定に対して、行政不服審査法による不服申立てをすることができない。
○ 149条5項
 参加の申請についての決定に対してはいかなる不服申し立てをすることもできない。
 
 五項は決定又は不作為に対して不服を申し立てることができない旨を規定したものであるが、その理由は、参加の許否の決定又は不作為自体について争わしめることはいたずらに審判手続を遅延せしめることになり、しかも参加申請人は当該審判の審決に不服がない場合は参加申請についての決定又は不作為について争う利益もないので、一七八条二項に規定するように参加申請を拒否されて当該審判の審決に不服な者は、審決に対して訴えを提起することができることとし、本条五項に規定するように参加申請についての決定又は不作為自体に対しては不服を申し立てることができないものとしたのである。


【特許・実用新案】6 *87
特許法に規定する明細書等の補正に関し、次のうち、正しいものは、どれか。
ただし、特に文中に記載した場合を除いて、特許出願は、外国語書面出願、国際特許出願、特許出願の分割に係る新たな特許出願、出願の変更に係る特許出願又は実用新案登録に基づく特許出願ではないものとする。
また、以下において、「最初の拒絶理由通知」とは、特許法第17条の2第1項第1号に規定する「最初に受けた」拒絶理由通知をいい、「最後の拒絶理由通知」とは、特許法第17条の2第1項第3号に規定する「最後に受けた」拒絶理由通知をいうものとする。

1 最初の拒絶理由通知と共に特許法第50条の2の規定による通知(既に通知された拒絶理由と同一である旨の通知)を受けた場合において、特許法第50条の規定により指定された期間内にする特許請求の範囲についての補正は、特許法第17条の2第3項の規定(いわゆる新規事項の追加の禁止)に加えて、同条第4項の規定(発明の特別な技術的特徴を変更する補正の禁止)に反するものでない限り認められる。
× 17条の2第5項、6項

2 外国語書面出願の出願人は、外国語書面についての誤記の訂正を目的とする場合には、外国語書面の補正をすることができる。
× 17条2項
 36条の2第2項の外国語書面出願の出願人は、17条1項本文の規定にかかわらず、同条1項の外国語書面及び外国語要約書面について補正をすることができない。
 二項は、平成六年の一部改正により新設された規定であり、外国語書面出願の外国語書面及び外国語要約書面の補正について規定したものである。出願日に提出された外国語書面は、出願日における発明の内容を記載した書面としての位置付けを有するものであり、その後の補正により記載内容が変更されることは適当でない。
また、外国語書面出願の出願人は、その後提出した翻訳文が願書に添付した明細書等とみなされ、それを補正することにより、外国語書面に記載した事項の範囲内において適切な権利を取得することが可能である。このため、外国語書面及び外国語要約書面については補正をすることができないこととした。

3 最後の拒絶理由通知に対して、特許請求の範囲について誤記の訂正のみを目的とする補正がなされた場合、審査官は補正後の特許請求の範囲に記載されている事項により特定される発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるかどうかを判断し、当該発明が特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるときには、決定をもってその補正を却下しなければならない。
× 17条の2第6項
 六項は、前項二号の特許請求の範囲の補正について、一二六条七項(訂正審判)の規定を準用することにより、補正後の発明が独立して特許を受けることができるものであることを要件とすることを規定したものである。なお、平成一四年の一部改正において、三六条二項の「明細書」から「特許請求の範囲」が分離されたことに伴い、本条にも同様の修正が加えられた。

4 外国語書面出願において、誤訳訂正書により明細書、特許請求の範囲又は図面の補正をした後、最初の拒絶理由通知を受けた。このとき、手続補正書により明細書、特許請求の範囲又は図面について補正をすることができるのは、誤訳訂正書により補正された明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてする場合に限られる。
× 17条の2第3項かっこ書
 誤訳訂正書により明細書、特許請求の範囲又は図面の補正をして、最初の拒絶理由通知を受けた後、手続補正書により補正をすることができるのは、翻訳文に記載した事項の範囲内、又は誤訳訂正書により補正された明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内である。

5 願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲に発明イ及び発明ロが記載されている特許出願について、出願審査の請求と同時に発明イに係る請求項を削除する補正をした。その後、最初の拒絶理由通知を受けた場合、発明ロに係る請求項を削除して、発明イに係る請求項を加える補正をすることができる。ただし、発明イと発明ロは特許法第37条に規定する発明の単一性の要件を満たす一群の発明に該当する。
○ 17条の2第3項
 最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしなければならない。よって最初に書いてあるからOK


【特許・実用新案】7 *177
特許無効審判又は延長登録無効審判に関し、以下の(イ)~(ニ)のうち、正しいものは、いくつあるか。

(イ) 特許無効審判の請求人は、特許を無効にすべき旨の審決に対する訴えを提起することができる期間内であっても、特許権者が東京高等裁判所に当該審決に対する訴えを提起した場合でなければ、当該審判の請求を取り下げることができない。
× 155条1項・2項
 審判の請求は、審決が確定するまでは、取り下げることができる(1項)。
 また、審判の請求は、134条1項の答弁書の提出があった後は、相手方の承諾を得なければ、取り下げることができない(2項)。

(ロ) 延長登録無効審判の請求人は、請求書の補正において、新たな延長登録の無効理由を追加することができる。
○ 131条の2第1項柱書・1号

(ハ) 特許無効審判において、請求人が請求の理由の要旨を変更する補正を行った場合、審判官の合議体は、当該補正が審理を不当に遅延させるおそれがないことが明らかであると認めるときは、当該補正を許可することがある。
× 131条の2第2項
 要旨変更補正を許可するのは「審判長」であって、「審判官の合議体」ではない。
 二項には、要旨を変更する請求の理由の補正を例外的に認めるに際しての審判長の補正許可の根拠規定を定めた。補正許可については、審判請求人が早期に全ての無効理由を提出するインセンティブを失うことなく、審理する価値のある無効理由のみを追加的に採用することができることを基本的な考え方とし、その補正許可の要件は、一般的には、その補正が、不当に審理を遅延させないこと、合理的理由があること、特許権者の同意があることとした。他方、訂正請求がなされた場合には、特則として特許権者の同意を求めないこととした。これは、訂正請求によって特許請求の範囲等に変更がある場合、それに応じて新たに無効理由を追加することは原則として合理的であり、また、特許権者による訂正請求に起因して無効理由が追加されることから、訂正請求をすることをもって特許権者の同意があったものと擬制することが可能であるからである。
条文の構成として、二号は一般的な要件を示し、また、一号に特則として訂正請求がなされた場合の要件を示した。
補正許可の第一の要件である「不当に審理を遅延させないこと」については、本項一号及び二号に共通する要件として本文中に規定した。
なお、審判長が補正許可を「することができる」とするのは、要旨変更にわたる補正をすることは当事者の権利ではなく、審判長の裁量権に服するものであることを明示するためである。

(ニ) 特許無効審判は、審決、審判請求の取下げ、又は請求の放棄のいずれの事由によっても終了する。
× 157条
 157条:審決があったときは、審判は終了する。
 155条:審判の請求が取り下げられたときは、審判は終了する。
請求の放棄によっては終了しない。

 157条:本条は、審決について規定したものである。一項は審決によって審判が終了する旨の規定である。審判は審判請求によってし、原則として審決によって終了するが、例外的に審決によらないで終了する場合がある。審判請求の取下げがこれである。民事訴訟では判決によらない裁判の終了原因として、裁判上の和解、請求の放棄、認諾等があげられるが、これは民事訴訟がいわゆる当事者主義によっていることの反映である。職権による審理が行われ当事者の自由な処分が認められない特許審判では、このような終了事由は存在しない。審判が審決によって終了するかどうかは無効審判の費用の負担の決定方法において差異を生ずる(一六九条)。
二項は審決の記載事項について規定したものである。旧法においては施行規則で規定されていたが、審決の重要性に鑑み法律で規定することとした。旧施行規則六三条は「審決ノ主文及理由」としたが、「主文」を「結論」という語に改めた。なお、平成八年の民事訴訟法の改正に伴い、判決書に裁判官が署名捺印する部分については、判決の作成に際
しての方式を規定するものであり、手続の細目であることから規則事項となったが、特許法においてもこれと同様に本条二項における審決書に審判官が記名押印する部分を省令事項とすることとした。